G8で外国人を標的にした職質は人種差別(2008年)

北海道洞爺湖G8サミットを目前に控え警備が強化されるなか、「外国人を標的にした職務質問は人種差別だ」として、米国系日本人の有道出人さん(北海道情報大学准教授)は、25日、北海道警察本部に抗議文を提出した。
「外国人に見えた」という理由から身分証の提示を求められ、こうした外国人への職務質問は、女満別など他の空港や、函館のフェリー乗り場でも行われている。
これに対し道警側は、「必要であれば日本人にも声かけをしている」とコメントし、この抗議文を要請文として受け取り、「文書による回答は確約できない」と述べたという。

有道さんは、19日午後、新千歳空港に到着した際に警官から身元の確認を求められた。職務質問の理由を尋ねると、「外国人に見えたから」という答えが返ってきたという。同じ便に乗っていたオーストラリア人も同様に職務質問されるのを目撃している。
有道さんは同日の記者会見で、「G8サミットのような国際イベントではテロ対策も必要であり、警察の任務は評価している。しかし、外見で人をテロリスト扱いするのは人種差別である。さらに、巨額な予算を警備費にあてたり、市民の恐怖を煽ったり、公共の公園の使用を自粛させるのは過剰警備だ」と主張した。
札幌市内の大学に通う留学生からは、「路上で職務質問された」という苦情が数ヶ月前からでている。また、市内にあるイスラム礼拝所には、昨年秋ごろから月1回ほど警察が巡回している。
こうした外国人をターゲットにした職務質問は、記者(木村)自身も体験した。24日、イラク人とともに新千歳空港に降り立った際、イラク人のみが警官からパスポートの提示を要求され、同伴者である日本人はノーチェックだった。
有道さんは、新千歳空港で職務質問された翌日に行われた講演会で、次のように語っていた。
「G8サミット期間中は、2002年の日韓ワールドカップのときと同じ状況になるのではないかと心配している。当時、フーリガン対策を理由に、繁華街のあちらこちらに『外国人お断り』の看板が掲げられ、路上で何度も職務質問された。テロリストやフーリガンはみな外国人というのは単純すぎる。
私は2000年に帰化し、日本国籍だ。にもかかわらず、いまでも外見だけで判別される。帰化した外国人や、国際結婚で生まれた子どもの数は増加しており、それが日本の現実である。
“国際化”とは、英語を話したり、外国人と親しくなるだけではなく、外見の違う人を日本人として受け入れることも含まれる。先入観を捨て、人種差別のない社会を目指してほしい」